自然って自然なの?
どうもこんにちは、シャンクスです。
今回の投稿はナチュラリストに近い立場のわたしの目を特に引くものでした。
2025年万博ではSDGsなる17個の目標が特に意識されています。
(SDGsとはSustainable Development Goals:「持続可能な開発目標」の略称で、UNDPという国連の組織が掲げているものです。)
そして、その中にはもちろん環境に関する項目もあり、15個目には「陸の豊かさも守ろう」と題する目標が掲げられています。それもあってこの投稿を取り上げさせていただきました。
緑という名の人工物
最近、都市の緑化がよく言われ、マンションの屋上に木を植えてみたりなどいろんなことが行われている。 本当の自然の森の近くで育ち、中で遊んだりしてきた僕からするとあれで自然と共存とか「あれが自然かー」などと言われるとすごく違和感があり、個人的な意見としてはあのコンクリート周りにできた木々はあまり好きではない……
https://wakazo-online.com/posts/detail/1160/
↑実際の投稿はこちらから。
個人的には私も自然を大切にしたい立場にあるので、投稿者の言っていることにとてもシンパシーを感じます。
熱帯に生えている風の植物をマンションの庭に植えて、
「南国リゾート風マンション 駅チカ徒歩5分!」
みたいにするんですよね。
そして、シンパシーを感じているからこそ、もしかして投稿者の方はこう思っているんじゃないかな、っていう一つの予測をしていたりもします。
すなわち、ここで言われている嫌悪感って、人に植えられた植物に対するものではなくて、
「ほら、植物ですよ~。自然ですよ~。」っていう人間の意図とエゴに対する嫌悪感なんじゃないかな、ということです。
というのも、人の手の加わっていない自然なんてもうほとんど陸上には残っていないでしょう。だって、原生林が世界遺産になるくらいです。
(ブナの原生林・白神山地やコミの原生林・ロシアが挙げられます。)
そして、原生林だと思っているものも、本当はずーっと昔の人類がたまたま植えたものかもしれない。
そして、そうであるなら、植えられてから何年、何百年、何万年経てば自然だと言えるのかって話にもなります。
植物は植物です。
ものに意味づけをするのはまさに人間の営為ですよね。そしてそれは往々にしてエゴイズムに陥ることがある。
別にコンクリートの傍に植えられようが、人の手のほとんど入っていない状態の植物だろうが、ただそこで必死に生きているだけです。
人間、そこから見習うものは少なくはないと思うんですけどね。
与えられたものに関して駄々をこねるよりも、与えられたものをいかに使うかということ、その場で必死に生きようとすることの方がずっと「生きている」感じがするのは私だけでしょうか。
きっとわたしだけではないと思います。
さて、では実際に万博の敷地内に植物を植えるとなったらどうしたらいいのでしょうか。
これについては、花人の手を借りてみてはどうかと思います。
いけばなとは名前の通りで、花人は花を生けます。
それは殺すことではなく、より生かすためになされているのだそう。
地面に根を下ろす草木を見てほしい。性状のままに枝葉を伸ばす草木は、よく言えば伸び伸びとしており、悪く言えば雑然としている。しかし、それがありのままの姿である。(中略)
極端なことを言うなら、梅の大木を見て、どの枝とどの枝をさばくと生花になるかと考え、不要な枝葉をさばく目を肥やすのだ。命の力強さはどの枝にあるのか、太陽を求めているのはどの枝か、個々の特徴がよく表れているのはどの部分か。自分の感覚を頼りに枝を見極めたら、不要な部分や働きが重複する枝をさばいていく。
池坊専永『池のほとり』(日本華道社)p.113,114
このように考えられて生けられた、植えられた植物たちであったなら、きっと投稿者が言うような違和感はないのであろうと思われます。
いけばなといえば、花戦さという映画が最近公開されていました。
今は上映されている映画館は少ないようですが、DVD等が出たら興味のあるかたは是非ご覧になってください。
また、日本文化としても、華道は十分すぎるほどでしょう。
もし、日本アピールをするのであれば、それにも持ってこいかもしれません。
では最後に自然に関するノンフィクション文学、ネイチャーライティングというジャンルから一冊紹介をして締めくくろうと思います。
2年間半、湖のほとりで自給自足生活をしたアメリカの思想家ソローの著作、『森の生活』からピックアップされた言葉たちが集められています。 「独り」で読まれるのをおすすめします。
- 作者: ヘンリー・ディヴィッドソロー,Henry David Thoreau,服部千佳子
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2010/09/01
- メディア: 単行本
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それではこのあたりで締めくくろうと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました。