誰にとっても気持ちのよいトイレを
どうもこんにちは、シャンクスです。
今回は学生団体SMILEさんからの投稿を取り上げたいと思います。
女性用トイレへの配慮
皆さんは、女性用トイレに長蛇の列ができている場面を見たことは、ありませんか?手洗い場を含めたトイレ全体の面積は、男性用トイレも女性用トイレも一般的に同じことが多いです。しかし、服の構造やトイレの使用方法、手洗いや化粧、その他を考えると、一般的に、平均すると女性の方が、長いと思われます。また、イベント時などに、トイレの個室で着替える人もいるので、そのときは、女性用トイレの回転率はさらに下がります。 そこで、近畿大学は数年前の改装改築工事の際に、女子トイレの面積を増やしました。さらに、大きなパウダールームをいくつも設置しました。さらに、そのトイレはかなり美しいと言われています。たかだか、トイレと言われるかもしれません。しかし、トイレから人の幸せを生むことができるのです。
https://wakazo-online.com/posts/detail/803/
↑実際の投稿はこちらから
この投稿を承けて、WAKAZO.ONLINE上で探してみたのですが、男女の身体差からトイレの構造を考える投稿はありませんでした。
新しい意見です。
簡単にですが、性についておおまかな前提を共有してから話を進めます。
性の問題を考えるときに、大きく分けて見方は二つあります。
それは本質主義と呼ばれるものと、構築主義と呼ばれるものです。
前者は、男女の別を自明の、既にあるものとして考えるもので、フェミニズムはこちら側に入ります。
他方後者は、性は社会的に創られるものだ、という立場です。生まれてピンク色のタオルに包まれた時から「女」が始まり、また、黒いランドセルを背負わされたときにはさらに「男」が強められるということです。
前者は男として、あるいは女として今現在ぶち当たっている問題を解決するのには必要な視点ですが、そもそも男女という枠組みにそぐわない人やモノを排除することにもなります。
男女の区別ゆえに悩む人たちの問題を解決することはできません。
逆に後者の見方ばかりでは、現状の男女差別に対する有効な手立てを打つことができません。
さて、簡単に性に関する見方を紹介したところで、話を進めていこうと思います。
以上を踏まえたうえで、明らかだと思いますが、この投稿はフェミニズムの視点から書かれたものと言えるでしょう。
現在ある、男女の不平等を是正することを目指すものです。
しかし、女性はこう、男性はこう、という見方ゆえに見落としてしまっている部分もあるように思います。
たとえば、「服の構造」「化粧」「トイレの個室で着替える」といった部分です。
どういった服装を想定されているのでしょうか。
私は身体的には男性ですが、スカートをはいたり、ワンピースを着たりします。
Tシャツにしてもメンズのものを着ることは少ないです。
化粧をすることもあります。
また、着替えるのにトイレの個室を利用するのは女性だけではないでしょう。
おそらく、「男が見る側、女が見られる側」という西洋白人男性が作り上げてきた構図を内面化していて、それを当然のものとしておられるのだろうと思います。
女性であれば、見られる側だから、どのように見られるかを意識しないといけない。だから隠れて着替える必要がある。
男性であれば、見る側だから、どのように見られようが気にする必要はない。外で着替えることもある。
このような考えを当然のものとして受け入れてしまっているのでしょう。
ですが、これは不動不変、絶対のものではありません。
私はたまに冗談混じりで、「その辺の女よりは俺の方が女だ」と言うことがあります。
それは、私が「男」が作り上げてきた価値観、今やほぼ常識となってしまっているその価値観を疑う視点を持ち得ているからです。
男に対して、いかにきれいにみせるかといったことを考えるのに腐心している女や、若さ、美貌こそがすべてだ、と考えている女よりはずっと自由であると思っています。
さて、議論は建設的なものであるべきです。
ここから私たちが考えるべきは、いかにしてあらゆるセクシュアリティを持った人が気持ちよくトイレを使えるようにするかです。
答えは簡単だと思います。
すなわち、すべてを多目的トイレにすることです。
多目的トイレは設置にお金もかかりますし、もちろん場所も取ります。
それゆえ、敬遠されるのは納得できます。
しかし、だからこそ、設置者の立場表明として、すべてを多目的トイレにするという選択肢もあるのではないでしょうか。
ましてや万博であれば格好の機会だと思います。
敷地面積は広いし、これからの人類の展望を示すという点においても文句はありません。
パウダールームはパウダールームで作ればいいです。
ただ、そこは女性のためだけのスペースではありません。化粧直しをしたい人のためのスペースです。
そこに性別という枠組みは必要ありません。
どうしても近くに「男性」がいるのが嫌だという人もいると思います。
それなら敷地内にいくつか元来の「女性用」パウダールームを設ければいいだけのこと。
トイレにしても同様。嫌な人がいれば元来の「男性用」トイレ、「女性用」トイレを設置すればいいのです。
トイレが美しいのがうれしいのは女性だけではありません。
誰であってもトイレは美しくあってほしいでしょう。
この記事を書くにあたって、学生団体SMILEさんのFacebookページを拝見しました。
「'全ての人が安心して輝ける居場所ある社会'を実現する」ことを目的に活動しているようです。
あらゆる人にとっての善を考えるときには、今の自分にとっての常識を疑う必要があります。多かれ少なかれ私たちは色眼鏡で世界を見ていて、偏ったものの見方をしているからです。
常識を疑うのは生易しいことではありません。人間は基本的に変化を嫌う生き物だからです。今までの常識を覆すようなものに触れるのには、もちろん痛みを伴います。
ですが、すべての人のことを考えるのならそれは避けては通ることができません。
これからの学生団体SMILEさんの活動、個人的に非常に楽しみにしています。
誰であっても生きやすい世界がくることを願うばかりです。
それではこのあたりで。